ダイナミックイメージコントロール
ダイナミックイメージコントロールとは, 様々なダイナミクスを有する現象に対して, 光学系・照明系・処理系などをうまくコントロールすることで, 通常では見ることができない対象や現象を人間にとってわかりやすい形で提示する技術である. 従来の固定された低速の撮像システムでは, 対象のダイナミクスが映像に混入していたのに対して, この技術により, 利用形態に合わせた映像のコントロールが可能となる.本研究は, ダイナミックイメージコントロールに基づく次世代のメディアテクノロジーの創出を目的としており,
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対象の画像計測に困難が多く技術による計測支援が重要な医療・バイオ・顕微鏡分野
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新たな映像表現が求められる映像・メディア分野
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人に理解しやすい映像が求められるFA・ヒューマンインターフェース分野
このような幅広い分野において, 対象の本質を捕らえ, ユーザーが必要とする映像を提供することで, 映像利用の新たな展開を生み出すことを目指している.

HoverCanvas: 大型・高精細な空中ディスプレイ
2025-
近年,ドローンショーのように空中に映像を表示する技術が注目を集めているが,このような技術を活用するには莫大なコストがかかってしまうという問題点がある.そこで当研究室では,新しい空中ディスプレイシステムであるHoverCanvasを提案している.これは,遠方にある対象に対して高速視線制御を可能にする「望遠三枚鏡視線制御システム」,遠方にある対象に対して高輝度で高精 細な投影を行うことのできる「望遠レンズ付き高輝度プロジェクター」を組み合わせることで,100m先にある遠方対象に対して動的プロジェクションマッピングを可能にして空中ディスプレイを実現するシステムである.
©群馬県 ぐんまちゃん 00433-01

ランダムアクセスビジョン
2024-
ロボットビジョンでは,カメラの視野よりも広い範囲を測定したい場合が多い.そのため,カメラは機械的なパン/チルトプラットフォームに取り付けられる傾向があるが,このような機構は,カメラのフレームレートに比べて無視できない応答時間を有する.そこで,当研究室と静岡大学の川人教授らの研究グループと共同で,任意の複数の視線方向をフレーム毎に観測する撮像手法である,ランダムアクセスビジョンを開発した.本手法により,フレーム毎に任意の視線方向の選択が可能で,異なる4方向(X方向)の同時撮影に成功した.さらに,フレーム毎に視線方向をジャンプ・集めて広げる動作や,2軸ミラーを用いたXY方向の視線方向制御による異なる4方向同時撮影も可能であることを確認した.

ドローンとレーザーディスプレイに基づいた飛翔空中ディスプレイ
2022-
SFの世界では空中に映像を出現させる技術が描かれることが多く,現実の世界でも様々な手法が提案されている.そこで本研究では,高速視線制御系とレーザーディスプレイを組み合わせ,遠距離の動的対象にプロジェクションマッピングを行うことで空中ディスプレイを実現する手法を提案した.この手法は,飛翔するドローンに吊り下げられたスクリーンにプロジェクションマッピングを行って空中ディスプレイを実現するものである.実際に試作したシステムを用いて約36m先の遠方を飛翔するドローンに装着したスクリーンに動的プロジェクションマッピングを行った結果から,提案手法が空中ディスプレイを実現する原理として有効であることを示した.

180 Projector
2021-
従来の動的プロジェクションマッピングの投影方法においては,プロジェクター1台で投影可能な角度範囲が限られることなどが課題として挙げら れる.
そこで,当研究室では投影系の周囲を囲むような広範囲に視線制御が可能な高速視線制御系「サッカードミラー3 (Saccade Mirror 3)」とプロジェクターを組み合わせ,広範囲かつ高速な動的プロジェクションマッピングが可能な投影システム「180 projector」 (読み方:One-eighty projector) を開発している.現在の試作システムを用いて行った実験では,急激に加速したり進行方向を変化させながら動く対象に向けての投影や,投影機材を中心とした水平方向の角度範囲 約210度にわたって投影を行う事ができた.
また,試作システムとオンラインシステムのZoomを組み合わせることで,ドローンをアバターロボットとして活用し遠隔地とのコミュニケーションに利用する応用実験に成功した.提案システムを使ったドローンのアバターロボットは,遠隔地の3D空間内を高い自由度で移動することが可能であり,ドローンに光源を載せるのではなく地上からプロジェクターで映像を投影する手法は,エネルギー供給の観点からも適切な手法である.

高速三次元カメラモジュールによる細胞の三次元トラッキング
2020-
遊泳細胞のような動き回る微小対象を顕微鏡で観察する場合,対象が視野内から外れたり,フォーカス位置が外れたりする問題があり,微小対象に対する高速三次元トラッキングが求められている.高速三次元トラッキングでは,微小対象の三次元情報を高速に取得することが必要である.しかし既存の光学顕微鏡で三次元情報を高速に計測することは難しかった.そこで本研究では,Tunable Acoustic Gradient index (TAG)レンズという数十~数百キロヘルツオーダーで焦点を変更できる可変焦点レンズと,画像1フレームの撮像時に複数回の短時間露光を任意のタイミングで実行できるTemporally Coded Exposure (TeCE)カメラとを組み合わせて,既存の光学顕微鏡で高速に三次元情報を計測できる高速三次元カメラモジュールを開発した.さらに,このモジュールを利用して遊泳細胞(クラミドモナス)の高速三次元トラッキングを実現した.

Simulfocus Imaging
2020-
通常のカメラは一度に特定の焦点距離での画像しか撮影できない.もし複数の異なる焦点距離の画像を撮影したければ,撮影ごとに焦点距離をかえて複数の画像を撮影する必要がある.これを解決する手段として従来ホログラフィやライトフィールドによる画像合成手法があるが,これらの手法では計測した情報から画像再構成演算が必要となる.これに対し,当研究室は静岡大学の川人祥二教授らのグループと共同で,複数の焦点の画像を光学的に同時に撮影する技術である,Simulfocus Imagingを開発した.この技術では光学的に複数の焦点距離の画像を撮影でき,画像の再構成演算が不要であるという利点がある.

1000-volume/s高速体積型ディスプレイ
2020-
現在普及しているヘッドマウントディスプレイ(HMD)では輻輳と調節の矛盾(VAC)とディスプレイの更新速度の遅さという問題がある.前者は眼精疲労やVR酔いを引き起こし,後者はシースルー型HMDを通してアノテーションを現実世界に提示する際に,ディスプレイの更新速度の遅さから物体とアノテーションにズレを生じさせ,体験者に不快感を与える.これに対し,当研究室では高速に焦点距離を変化させることができるTunable Acoustic Gradient index Lensと,高速に画像表示を行うことができるDigital Micromirror Deviceを組み合わせた1000-volume/s高速体積型ディスプレイを開発した.このディスプレイでは1秒間に1000個の体積を表示することができ,上記の問題を同時に解決することができる.

飴を材料とする食べられる再帰性反射材
2019-
再帰性反射材とは,道路標識や自転車の反射板として身近に利用されている光学素子であり,画像処理用のマーカー(目印)としても利用されている.従来の再帰性反射材は不可食なガラスやプラスチック製であったが,これを食品からのみ形成することで,料理の上や消化管内壁においても無害で安全に利用することが期待できる.これまで,当研究室では寒天を利用した食べられる再帰性反射材が実現できることを示してきた.しかし,寒天はその多くの体積を水が占め,一度空気中に出してしま うと乾燥するにつれて形状が変化し機能を失ってしまうという欠点があった.そこで,再帰性反射材の素材としての要件を満たし,可食であり,なおかつ乾燥に強い素材である,飴を材料とする再帰性反射材を開発した.


