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飴を材料とする食べられる再帰性反射材

 

 再帰性反射材とは,道路標識や自転車の反射板として身近に利用されている光学素子であり,画像処理用のマーカー(目印)としても利用されている.従来の再帰性反射材は不可食なガラスやプラスチック製であったが,これを食品からのみ形成することで,料理の上や消化管内壁においても無害で安全に利用することが期待できる.これまで,当研究室では寒天を利用した食べられる再帰性反射材が実現できることを示してきた.しかし,寒天はその多くの体積を水が占め,一度空気中に出してしまうと乾燥するにつれて形状が変化し機能を失ってしまうという欠点があった.

 そこで,再帰性反射材の素材としての要件を満たし,可食であり,なおかつ乾燥に強い素材である,飴を材料とする再帰性反射材を開発した.開発した試作品の写真を図に示す.飴は加熱しすぎるとキャラメル化してしまい,透明度を保った状態で再帰性反射をするための形状を形成することが難しいという問題があったが,還元イソマルツロースと水を原料として,シリコンを型として用いることにより,作製に成功した.

​ また,試作品が光を反射する様子と,その応用例として,テーマパークのカフェテリアでの利用を想定した料理への動的なプロジェクションマッピングと,市販の光学式モーションキャプチャーシステム用のマーカーとして利用した例を動画として示す.例えば動物のモーションキャプチャーでは動物がマーカーをかじってしまう場合があり,動物の健康を害する可能性が否定できなかったが,マーカーを食べられる物にすることで,動物でもより安全にモーションキャプチャーを実現できることが期待される.

 

飴完成cut.png

図 試作した飴製の再帰性反射材の写真

動画 試作した飴製の再帰性反射材が光を反射する様子と応用例を示す動画.応用例としては,試作品をマーカーとしてパンケーキに動的なプロジェクションマッピングを行った様子と,市販のモーションキャプチャーシステム用のマーカーとして機能する様子を示した.

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