1msオートパンチルトによる高速白色物体トラッキング
高速な物体を追従・撮影することが可能である1msオートパンチルトと呼ばれるシステムは,スポーツ中継のような業務用放送への応用が期待されている.
1msオートパンチルトシステムで従来用いられていた物体追従用のアルゴリズムは,HSV色空間で表現された画像中における,色情報の値に依存しているものであった.そのため,背景と対象物体が同色である際に対象物体と背景における差を認識することができないという問題があった.また,HSV色空間における色相では,白色が定義されていないため対象物体が白色である際に扱うことが難しいという制約も存在していた.しかし,スポーツにおいて,野球や卓球のように白色球を用いる機会は多い.
そこで,当研究室では白色背景上で高速に移動する白色物体の追従・撮影を行うためのアルゴリズムを研究している.
具体的には,HLS色空間での輝度値(L)から算出したLocal Binary Pattern(LBP)特徴量と画像中輝度値のヒストグラムに基づいたMeanShiftを用いることで,高速カメラ画像中から対象物体の重心位置推定を行うようなアルゴリズムを提案している.
以下に,提案したアルゴリズムを用いて白色物体を追従・撮影を行った動画を示す.動画中では,白色背景で白色球の追従を行っている様子や,白色球を用いた卓球のラリーの追従を行う様子が示されている.
図. 白色球を用いたラリー中のある1秒間における高速カメラ画像と視線制御用ガルバノミラーの角度の遷移
動画. 提案アルゴリズムを用いた白色物体トラッキングのデモンストレーション
参考文献
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小池裕太,伊澤徹,田畑友啓,高井優,奥寛雅 : 1msオートパンチルトによる高速白色物体トラッキング,映像情報メディア学会2015年冬季大会 (早稲田大学西早稲田キャンパス,東京,2015.12.15)/講演予稿集,13B-3
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Kohei Okumura, Keiko Yokoyama, Hiromasa Oku and Masatoshi Ishikawa : 1ms Auto Pan-Tilt - video shooting technology for objects in motion based on Saccade Mirror with background subtraction, Advanced Robotics, Vol.29, No.7, pp.457-468 (2015) [doi:10.1080/01691864.2015.1011299]