180 Projector

 

 

 

近年プロジェクションマッピングを用いた演出が盛んに行われているが,投影対象としては静止した物体が多く,今後は動的対象への投影技術開発が重要である.従来の動的プロジェクションマッピングの投影方法においては,プロジェクターの位置が固定されているため1台で投影可能な角度範囲が限られること,既存の高速視線制御系の制御範囲は垂直・水平方向共に最大60度程度であるため投影系の周囲を囲むような範囲に広く映像を投影することはできないことなどが課題として挙げられる.一方,鑑賞者周囲の広い範囲に映像を提示することは没入感の向上などが期待でき,有用である.

そこで,当研究室では投影系の周囲を囲むような広範囲に視線制御が可能な高速視線制御系「サッカードミラー3 (Saccade Mirror 3)」とプロジェクターを組み合わせ,広範囲かつ高速な動的プロジェクションマッピングが可能な投影システム「180 projector」 (読み方:One-eighty projector) を開発している.現在の試作システムを用いて行った実験では,急激に加速したり進行方向を変化させながら動く対象に向けての投影や,投影機材を中心とした水平方向の角度範囲 約210度にわたって投影を行う事ができた.

また,試作システムとオンラインシステムのZoomを組み合わせることで,ドローンをアバターロボットとして活用し遠隔地とのコミュニケーションに利用する応用実験に成功した.提案システムを使ったドローンのアバターロボットは,遠隔地の3D空間内を高い自由度で移動することが可能であり,ドローンに光源を載せるのではなく地上からプロジェクターで映像を投影する手法は,エネルギー供給の観点からも適切な手法である.

図1に試作システムの外観写真,図2にシステムの接続図を示す.また,ドローンをアバターロボットとして活用し遠隔地とのコミュニケーションに利用した結果をまとめたものを動画に示す.

以上より,本システムは従来の投影手法では不可能であった広範囲における動的プロジェクションマッピングを高速性を損なうことなく可能にすること,また,応用実験からはその有用性が示された.

動画 180Projectorを使い,ドローンをアバターロボットとして活用したデモの様子を示す.

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図1 180 Projector (外観)

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図2 180 Projectorのシステム接続図

参考文献

  • 樋口 詩乃(修士1年),奥 寛雅:3枚鏡方式の視線制御系による広範囲かつ高速な動的プロジェクションマッピング手法,第24回一般社団法人情報処理学会シンポジウム インタラクション2021 (ハイブリッド開催,2021.3.10-12),インタラクティブ発表(プレミアム発表),Paper ID 071

  • 奥寛雅,飯田和久 : 3枚の回転鏡による高速・広範囲視線制御機構の試作,第33回日本ロボット学会学術講演会 (RSJ2015)(東京電機大学,東京,2015.9.3)/講演論文集,1H1-03