top of page

​高速マイクロプロジェクションシステム

 

​​​ 近年,光遺伝学を用いた生命現象の解明に向けた研究が活発に行われている.光遺伝学では,遺伝子操作によって光感受性を発現させた細胞に光刺激を与え,その細胞及び生物の状態を制御することで生命現象を理解することを目的としている.そこで,当研究室では全神経細胞回路網が完全に解明されており,神経と行動の関係を明らかにする研究材料として優れている線虫・C・エレガンス(Caenorhabditis elegans)を対象とし,特定の細胞に光刺激を与えることでその細胞の状態を制御することを目的としている.しかし,移動する対象の特定細胞のみに光刺激を与える場合,特定細胞のみへの光照射に加え,投影像がリアルタイムで追従し,対象へ常に光を照射し続けなければならない.

​ そこで,当研究室では高速かつ低遅延な対象への光投影を実現する,高速DMD(Digital Micromirror Device)を用いた高速マイクロプロジェクションシステムを開発した.提案システムは,投影像を制御する光学系に接続された投影用顕微鏡と高速に画像取得のできる高速カメラに接続されたカメラ顕微鏡の2つの顕微鏡から構成される(図1:システム外観,図2:構成図).

 提案システムでは,まずカメラ顕微鏡で取得された画像に対し,YOLOv10というリアルタイム性に優れた物体検出アルゴリズムを使用し,高速に対象を検出する.その後,検出された対象の位置に合わせた投影画像を高速画像処理によって生成する.そして,生成した投影画像を投影用顕微鏡によって投影することで,対象の位置に対した光投影が可能となる.投影像の制御には高速かつ低遅延な投影が可能な高速DMDを用いており,ミラーの角度を変化させ光の反射方向を制御することで,投影用顕微鏡に入射する光線を選択し任意の位置への投影を可能にする.

​ 提案システムの有効性を検証するため,線虫頭部への動的投影実験を行った.結果として(動画参照),線虫頭部の動きに対して投影像の位置が正確に追従・一致していることが確認され,本システムは対象の位置・姿勢変化に対応した高速かつ低遅延な投影が可能であると実証された.

 

動画 線虫頭部への動的投影結果

photo_projectionsystem-1.png

図1 提案システムの外観

Allsystem-1.png

図2 システムの概要図

参考文献

  • Hiromasa Oku, Atsushi Eda, Toya Fujita: Milliseconds photon-to-photon latency projection system for adaptive optogenetics applications ,The 2024 IEEE International Conference on Robotics and Biomimetics (IEEE ROBIO 2024) in( Bangkok, Thailand. 11/12/2024)/Oral Session,ID 221​

  • Atsushi Eda, Toya Fujita, and Hiromasa Oku, "Milliseconds photon-to-photon latency projection system for adaptive optogenetics applications," Opt. Express 33, 20157-20168 (2025)

  • 藤田透矢,​江田篤志,水戸部真澄,奥寛雅​ : 光遺伝学のための高速かつ高輝度なマイクロプロジェクションシステムと線虫への高速動的投影,ロボティクス・メカトロニクス講演会2025 (ROBOMECH2025) (山形ビッグウイング,山形,2025.6.5)/予稿集,1A2-O04​

  • 藤田透矢,江田篤志,奥寛雅:光遺伝学のための高速・高輝度マイクロプロジェクションシステムの高性能化,第43回日本ロボット学会学術講演会 (RSJ2025) (東京科学大学,東京,2025.9.3)/講演論文集,1L2-05

bottom of page